カンボジア学生研修 体験記 〜大滝真梨香さん〜

みなさま、今回はこのような貴重な機会を与えていただきありがとうございました。私は一度選考に漏れて繰り上がり合格となりましたが、そのおかげでもっと貪欲に取り組むことができたと感じています。
大学で1年間ポリクリを学んだ後にこの短期ボランティアに参加する機会を得たのは、とても大きなことでした。一年前では気づけなかったであろう部分、一年前ではきっと考えなかったことがたくさんありました。ジャパンハートの特徴は、何よりも患者さんに直接接し、医療を届けるところにあると思います。学生である立場でこのように日本以外の地で医療に参加させていただく機会はそうあるものではありません。日本の病院との違い、日本の病院でやっていることをうまく取り入れようとする工夫、そしてそこで働く方々が何を考え動いているのかなど、将来の自分の姿を考える上で大変参考になりました。
まず思うのはやはり、日本の環境との違いです。ミッション中の学生の主な仕事はオペ器具の洗浄と滅菌、またガウンなどの洗濯物たたみでした。普段ポリクリを行う大学病院では、オペ器具の洗浄はまず自分では行いません。手術室に入ればもうすでに滅菌されたものが整然と清潔な台の上に並んでいます。また、医師はオペが終わると片付けまでは残らずオペ室をあとにします。ガウンは使い捨てのものを使用しています。そのため、器具を自分たちで洗うこと、ガウンは何度も洗い使うことにまず驚きました。ミッション中、1日10件ものオペを行えば、その器具の数も、洗濯物の数もどんどん増えていきます。それをひたすら洗い、ひたすらたたむ作業は慣れないうちは手こずりました。もっと中のオペを見たいのに・・・と思うこともありました。しかし慣れてくるとその考えよりも、普段のポリクリの環境がいかに多くの人の手により成り立っているのかを思い、それに対して感謝の気持ちを感じながら手を動かしていました。また、日本のオペ室では「清潔」に対してすごく厳しく注意を受けます。不意に体や手が「不潔」なエリアに触れてしまえば、先生はそれを見逃してはくれません。患者さんの身体を感染から守るため、細心の注意をはらいます。ミッション中のオペ室ではどうしてもハエや蚊が入り込んでしまい術野の上を飛ぶなど、日本のオペ室では考えられないようなこともありました。また、日本人の医師がいるため来る範囲の清潔に対する注意は行っていましたが、もっと徹底できるのではと思うこともありました。オペ室には短期ボランティアの医師、JHの看護師のほかカンボジア人の医師や通訳スタッフ、また私達のような学生も入ります。帽子やマスクをもっときちんとつけるべきたし、ドアを開けたら最後まできちんと閉める、オペ室用のスリッパはあちらこちらに脱ぐのではなくきちんと並べて脱ぎ着するなど細かい点が気になってしまいました。毎日オペチームでのミーティングはありましたが、学生がこのようなことを指摘するのがはばかられ、結局言うことができませんでした。ミッションに参加する前に考えていた状況と違ったのは、ミッションに参加するのは自分より年上の経験豊富な方々ばかりで、学生はその中にわずか3人と自分の率直な意見を言うにはおこがましいと感じられる状況だったということです。1対1でお話させていただくときは、どの方も、特にJHで働かれているスタッフの方々は親身になってたくさんの有意義なお話をしてくださったのですが、なかなか全体に向かって思うようなことを発言することはできませんでした。誰に思いを伝えたらいいのか分からず、ミッション中はひとり考えこんでしまうことが多かったです。カンボジアに着いた初日、プノンペン市街を短期参加者5人で観光する機会がありました。観光中に参加者の数人が「きたない」「うわーなんてマナーがなってないんだ」「ほら見て、あんなのもあるよ(笑)」と盛り上がっていたり、「ボランティアっていったってこっちは貴重な休みをつぶすばかりか大金を払ってきたんだ」という発言をしているのを聞いて、この人達とは分かり合えないのではと初日に感じてしまいました。その印象を残したままミッションに入ってしまい、なかなか他の参加者の方と打ち解けることもできませんでした。ミッションも終盤に差しかかる頃、何気ない会話で私はこの人達のことを誤解して過ごしていたのかもしれないと気づくことになりました。ある1日の夕暮れどき、風通しの良い場所で少しの休憩をしているとき、一人の参加者の方がとなりで「ここから見えるメコン川はとてもきれいですよね。ああ1日疲れた、明日も1日しんどいなと思って眠りについても、次の日の朝にこのメコン川を眺める道を通ると、今日も1日頑張ろうという気持ちになれます。ほんとこの眺めに救われますよね。」とおっしゃりました。私もまったく同じことを考えていました。あぁ、つらいと思うのは自分だけじゃない、他にも同じことを思い1日励んでいる人がいたのかと考えると、もっとその方とお話してみたいと思いました。初日から苦手意識を抱いて話す機会を作ってこなかったことを後悔しました。今回全体に何かを訴えたりすることは難しい環境でしたが、もっと1対1の場を作り出し、なぜこの人がここにいるのか、何を思って過ごしているのかを全員に聞きたかったです。
帰国の途中で思ったのは、やはり自分はこのような海外の医療の場に身をおくことが好きだということです。自分がより自由になれる、たくさん感じ、たくさん行動したいと思う、その感覚が心地良いです。来年以降医師になり、自分はどうつながりを保っていくのか。今回出会った医師の方々は日本では非常勤で務めていらっしゃる方、大学院生の方、夏休みを利用して来た方など様々な方法でこのミッションに関わっておられました。その方々の話を聞く中で将来のヒントも得られたように思います。また、実際にオペを見させていただき、どのようなオペをできる医師ががこのようなミッションで必要とされるのかもよくわかりました。今後将来の姿を具体的に優先順位とともに考えつつ、またいつか医師としてJHのミッションに戻ってくることができたらと思います。
JHと私とをつないでくださり、本当にありがとうございました。これからもこの学生事業により、多くの学生が貴重な経験を得、将来の糧としていくことを願っております。

国際協力学生団体 HEART's

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