ミャンマー学生国際医療研修 2013年3月19日~24日 ~石川和宏さん~

 東京医科大学5年生 石川和宏  

 私は一度大学を卒業後、社会人を経て、30歳の時に医学部に再入学しました。再入学したきっかけは、前の大学に通っていた際に、救急病院の事務当直のアルバイトをしたからです。働いていた病院の救急部門では、医師1人と看護師1人が、救急車と救急外来含めて一晩に20人近くの患者の治療をしていました。スタッフは非常に激務で疲弊していましたが、それでも医療スタッフが患者のために身をささげ、患者が元気になって帰る姿を見ることは、温和な大学生活を送っていた自分には、非常に刺激的で感銘を受けました。仕事を選ぶなら全身全霊で人のために身をささげることをしたいという気持ちがおこり、そのころから医学部再入学を考えるようになりました。  今回のミャンマー国際医療ボランティアに応募した理由は、10年前にアルバイトをしていた時とまさに同じ気持ちでした。国際医療保健は大学の公衆衛生学の授業を受けてなんとなくイメージは持っていましたが、大学の授業を聞いただけでは自分の心には全く響きませんでした。しかし、吉岡先生の著書や情熱大陸のジャパンハートの特集で、患者一人一人と向き合う姿を見て、国際医療ボランティアを体験したくなりました。ボランティアの目標は、ミャンマーでの医療に触れること、どんな人が医療スタッフになっているか知ること、そしてその人たちがどんな気持ちで医療スタッフになったか話を聞いてみたいことでした。  ジャパンハートが医療を行っているワチェ病院は、私が訪れた時期は手術ミッションの週だったので、毎日10件から20件のオペが行われていました。私が手術で立ち会った患者は、甲状腺腫、鼡径ヘルニア、陰嚢水腫、停留精巣、体表にできた腫瘤の摘出など日本ではあまり見られないものでした。話を伺ったところ、ミャンマーでは感染症が多く、それに伴う反応性に、甲状腺が肥大したり、陰嚢に水がたまったりすることが多いそうです。病院は1日目からハードで朝から夜の12時まで手術が行われていました。その後、吉岡先生のミーティングがあり、1時にお寺で就寝、5時15分に起床でした。朝はお寺で瞑想し、寺院周辺の掃除を行い、朝食を食べ、7時から業務が始まりました。病棟では、術前患者の問診やバイタル測定、手術前の食事の管理の指導、術後患者の合併症の確認などを行っていました。ドクターは手術に入ってしまうので、大半の病棟業務を看護師だけで行っていたのはびっくりしました。また、日本人看護師は、ミャンマー人と円滑にコミュニケーションをとっていたので、語学の勉強に関しても非常に努力されているなと思いました。私たち日本人は、ミャンマー人医師とは英語で、ミャンマー人看護師とは日本語で話せますが、患者とはミャンマー語しか話せません。私たち学生は指さし会話帳でなんとか自分の気持ちを伝えるので精一杯でした。しかし、ミャンマー人は非常にやさしい人が多く、知らない人でも話しかけてくれます。私たち学生にミャンマー語やミャンマーについて沢山教えてくれました。また、家族愛がとてもあるので、一人で受診する人もいませんでした。家族で大勢病院におしよせ、診察室で患者と一緒に家族全員が医師の話を聞いている姿を聞くのは非常に印象的でした。医療スタッフと一緒に患者さんを呼びに行ったのですが、長椅子に座っている患者さんに話しかけると、患者さんがその周りの人と仲良く話しているので、一瞬見ただけでは、長椅子に座っている人のどこまでが家族なのか、どこからが他人なのかわかりませんでした。看護師に患者の治療に対するコンプライアンスについて聞いたところ、ミャンマーでは家族に説明すると、家族は熱心に患者のお世話をしてくれるのでコンプライアンス不良ということはないということでした。ミャンマー人とは今まで一度も接したことがありませんでしたが病棟業務を通してミャンマーの人の優しさにふれることができました。  忙しい中、医療スタッフと色々とお話をする機会がありましたが、彼らは、地位や名声や医療技術の向上とは別次元の考え方を持っていました。医療スタッフは、日本で働いていた時に、ボランティアに参加するためにお金を貯めて、研修にやってきます。皆、信念をもって、ボランティアとして、目の前の患者の治療にあたっています。ワチェでは休みを取らないそうです。毎日、病棟に患者さんが来るため忙しそうです。そして、日本と通信する手段もないため、家族や友人と離れて単身で仕事をされています。そんな状況にもかかわらず、皆、優しく、楽しそうに医療活動をされていました。この姿は私が医師になった時に忘れてはいけないものだと実感しました。  最後になりますが、私はずっと内科医を目指していました。しかし、今回の医療体験ボランティアを通して、外科医に非常に興味がわきました。ジャパンハートの研修を通して、外科は内科と違って、言語の壁はあまりなく、すぐに医療として貢献ができる素晴らしい仕事だと実感しました。ミャンマー語がペラペラ話せなくても、ドクター同士は英語で話すことができるので、異国人同士でもチーム医療を行うことができる姿をたくさん見ることができました。また、今回の実習を通して国際医療保健について考えるきっかけを与えてくれました。大学の授業で国際医療保健を聞いても響かなかったのは、自分が、発展途上国という国の生活を体験したこともなく、また、その国での医療を見たことがないため、医療の基準を日本の裕福な生活での医療水準で考えたからだと気付きました。このような素晴らしい体験をさせて頂いたジャパンハートのスタッフには感謝しています。本当にありがとうございました。 

国際協力学生団体 HEART's

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