ミャンマースタディーツアー8月 内藤由紀さん

島根大学医学部医学科4年 内藤由紀 

  -東南アジアでこんなにも見返りを求めない親切さや優しさを持った人々に出会ったことはない-初日にヤンゴンを観光した時、率直にそう思いました。右も左もわからないままロンジー(ミャンマーの伝統衣装)を買いに行ったりご飯を食べに行ったり仏塔や寝仏の観光に行きましたが、いつでも笑顔で優しいミャンマー人が助けてくれました。“日本人が大好きです”という親切な人に、普通は見ることのできないお坊さんの家や生活風景、お経の練習風景を見学させていただき、また瞑想にも参加させていただき、初日から“ミャンマー”という国を身を持って感じることができました。そしてこの国をとても気に入っている自分がいました。渡航前は治安の悪さが心配で、また“軍人”のイメージに少し恐怖を感じていましたが、行ってみると全然気にならなかったです。むしろ穏やかで仏教信仰の厚い安全な国のように思いました。人々の中で歴史が作りあげた国のイメージが根強いことが残念です。また、他の東南アジアと比較して、ミャンマーでは道端で寝ている人やストリートチルドレンが目につかないことに驚きました。仏教への信仰心がとても厚く分け合いの精神が育っているおかげなのか、と想像していました。 2日目に訪ねたヤンゴンの無償病院―東南アジアで初めて入る病院になりました。手術で使うと予想されるガーゼやマスクが廊下に干してあるのを見て、これらを使い回ししていることに衝撃を受けました。私たちは実習ですら一度使うと捨てているような物が本当はとっても貴重なものであるのだと感じずにはおれず、国や環境の違いは衛生面の違いを生み、ものの重みの違いを生むということを学びました。この病院では多くの疾患を見させていただき、大学で履修済みのことをドクターに多く質問され、英語を話せない自分を情けなく思ったのと同時に、今大学で毎日勉強していることの“基礎”の部分の大切さに気付かされました。日本に帰ったらもっと真剣に勉学に励もうと一番強く決心した瞬間でした。 ワチェ慈善病院では手術と外来の2つを経験させていただきました。私は初日に手術室に入りました。日本とミャンマーでの手術で大きく違ったことは、手術中に最も優先すべきことの違いでした。私はこの違いを最初は理解できず、どの国に置いても日本が最も優先していることが一番にくるべきだと思っていたので、何度も何度もこらえきれずに涙を流しました。中でも口蓋裂の男の子の手術を忘れることは一生できないと思います。このような国では手術を受けられること自体、日本人医師に治療してもらえること自体、とても幸せなことなのかもしれないけれど、生まれた国が違うだけでその子にとってここまで手術がつらいものになるという事実を、受け入れられない自分がいました。たとえ手術のおかげで未来が明るくなるのだとしても。日本なら、お金があれば、、、そう思わずにはいられませんでした。“医療を届ける”これはどんな人にとってもとてもありがたく、幸せなことであると信じていますし、実際これは間違っていません。医療があるということは誰しもの救いになります。しかし、私はこの男の子の手術を見て、医療を届けても、国が違えば、病気を克服するためのその医療行為がその患者さんに苦痛を与えることにもなるのだという、国際保健医療の厳しい現実を知りました。日本での医療でもあることはあるのですが(抗がん剤治療や後遺症など)。 このツアーに参加した私の目的は“憧れだけで国際医療を目指している自分を変えたい、もっと現実を知って確かな目標としたい”というものでした。実際国際保健医療を目の当たりにして、正直甘温い世界ではないと強く思いました。発展途上国で医療をするということ-これが何を意味しているのか。決して環境の違いだけではありませんでした。立ちはだかる壁は思っていたよりも多かったです。長い目で見れば確かに患者さんのためになっている医療であるのは事実でも、その医療行為の瞬間はひどく苦痛を与えているかもしれないということに自分はどのような考えを持つのか。その瞬間の国際保健医療って何なのだろうか。たくさんの葛藤が生まれました。昔からひどく憧れていた国際保健医療の世界を“私には理解できない”そう思って泣いていた自分に吉岡先生が下さった言葉に、 『自分の心が正しいと思うことを一生懸命しなさい。“人のため”としか感じられないことは長続きしない。自分のしていることが“自分のため”になっていることが大切だし、その行いこそが長続きしていくものだ。』 というものがあります。 私は口蓋裂の手術を終えた男の子のことが3日間ずっと気になっていました。“元気になってほしい”頭の中はそれでいっぱいでした。この男の子のためでもありますが、私の心の平穏のためだったように思います。救ってあげるよ、という考え方ではなく、自分の心のために救わさせてください、そう願っていたように思います。人が救われることで自分がこんなに救われることになるということを実感した気がします。こう思った時、吉岡先生の言葉を理解できたし、先生が長年このような状況下でどうして医療を続けてこられたのか、やっと理解できたように思います。  外来で多くの患者さんのバイタルを測らせていただき、たくさんお話することもでき、楽しい思い出もたくさんできましたが、それだけではなく、本当にいろんなことを感じた病院実習でした。こんな経験や感情は決して日本では体験できなかっただろうと思います。 そして、このワチェ慈善病院で学んだ現実の厳しさや困難さも含め、やはり国際保健医療に大きな魅力を感じます。世の中で色々な意見があることは十分理解しているし、今まででも周りの人から幾度となく反対されてきましたが、それでも今私は国際保健医療にどうしようもなく惹かれています。  ミャンマーという国は私にとって特別な国です。短い時間でしたが、涙も笑いも、たくさんの思い出とともに残してきました。自分がどのように国際保健医療に携わるか、今も道を模索中でなかなか想像できませんが、このスタディーツアーに参加し、自分自身や自分の将来のことをたくさん見つめることができたので、本当に良かったと思います。協力し支えてくださった全てのみなさま、本当にありがとうございました。これからも日本で学生として大切なことを日々頑張って前進していきたいと思います。『いい医療人であることはいい社会人であることが前提だ。』吉岡先生の言葉をしっかり胸に抱えて。 

国際協力学生団体 HEART's

認定NPO法人ジャパンハートの下部組織に当たる "学生組織 HEART's" あなたの背中を押す存在でありたい ーさぁ、私たちと新たな "一歩" を踏み出しましょう!

0コメント

  • 1000 / 1000